大平レポート③ 「一般質問」のつくりかた。

〜大平亮介さんのFBからの記事です〜

市民協働、市民自治の実現の一つの方法として一般質問を一緒につくることが挙げられます。そこで一般質問の組み立て方をまとめてみました。

■方法として
議員さんとの意見交換会などを通して一般質問の問いを立てることもあるので、会に参加して意見を伝えることもできます。

また、地方議員さん一人で質問に関連する資料や先進事例を集めたり、内容をまとめることは手間もかかりますので、リサーチを手伝うと助かるのではないかとおもいます。
このように一般質問を組み立てるさまざまなお手伝いすることができます。

どの組織を支持するとかは関係なしに、純粋に自分が解決したい課題と類似する一般質問を過去にした議員さんとコンタクトをとるのも一つの手だと。

大平 亮介さんの写真

おおたとしまさ『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』②

前の記事の続きです。
前の記事はこちら

 

この4月から作文の塾を開設する私にとって、本書『ルポ塾歴社会』は参考になる1冊でした。

ハッキリ言うと、北海道では「サピックス」(SAPIX)も「鉄緑会」もほとんど縁がありません。
(サピックスは「北大増進会」内にSAPIXメソッドコアマスターというコースがあったり、代々木ゼミナールと合同で「Y SAPIX」を運営していますが・・・)

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学力危機北海道』ではありませんが、北海道は全国的にみて「低学力」が問題とされています。

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札幌はともかく、私が先月まで居た北海道帯広市はまだまだ「受験競争が激しい」とは言いがたい雰囲気の場所です。

受験熱、特に中学受験熱なんて首都圏と関西のみのもの・・・
本書『ルポ塾歴社会』を読んでも「ああ、そんなことがあるのね」という「関係ない感」をもってしまいます。

 

そのため、サピックスや鉄緑会についての話よりも「第4章 塾歴社会の光と闇」が一番勉強になりました。

 

某有名進学校の校長はこう言う。「私たちが高校生だったころは、高3になると、東大に合格した先輩の家に行って、勉強方法を教えてもらい、先輩が使っていた問題集をダンボールごとごっそり譲り受けて受験勉強をしたものです。それが学校の伝統でもありました。しかしいつしか塾が台頭し、いつまでにどの問題をやればいいのかをすべて指示してくれるようになってしまった」
そうなれば、プロの力を借りたほうが有利になるのは当たり前である。それを突き進めた先に、塾歴社会」があった。(141)

かつて、受験勉強の際は次の自問自答をしながら勉強をすすめるものでした。

「自分はどこを目指すか、自分はどの教材を使い、自分はどんな計画のもと受験勉強をするか」

いま、これを自分で考えることを放棄する受験生が多い気がしています。

自分で考えないからこそ、塾・予備校を「ペースメーカー」として使うことになります。

例)「数学は高3の夏までに全分野一通り終わらせられるよう、カリキュラムを組んでいます」

そうなると、自分で考えることは「ペースを乱すこと」になります。

下手に自分で考えて「別にいま数学をやんなくてもいいんじゃないか」とすることは「危険」(=不合格)な発想になるのです。

 

これこそ、思想家イバン・イリイチが語った「制度化」です。

2Q==-1☆イバン・イリイチ研究の第一人者、山本哲士の本。

自分で考え、自分で勉強する力がなくなり、
「塾/予備校」という「制度」がいうことを無目的に信じ、行動するようになるのです。

当然、自分で考えて受験勉強を進めると「うまくいかない」「一生懸命やったけど、志望校に落ちた」という結果もありえます。

【サピックス→鉄緑会ルート】の若者を描いた『ルポ塾歴社会』では、保護者の声として、息子が「第1志望合格を逃したことを、今でも自分の判断ミスだったと悔やんでいる」(78)との記述があります。

受験生自体が「自分の失敗だ」と捉え、「じゃあ、次はこうしよう」とはせず、単に「判断ミス」として親が「悔やむ」構造もあるのです。

また、サピックスも鉄緑会も、超スピードで進みます。
「ふつうの子」ならついていくのに一杯いっぱい。
その結果、学校の勉強も塾の勉強も中途半端という生徒も出てしまいます。

どこかで、「じゃあ、サピックスを辞めて、自分はあの塾でまた頑張る」「別のやり方を試してみる」をすればいいのですが、それをできず、やり続けてしまう。

ある意味ですごく素直です。

言われたことを純粋にただやる。

「地頭」のいい受験生なら「まあ、適当に手を抜くけど一応やっておくか」と相対化できます。

そうでない「ふつうの」受験生なら、それこそ学校の授業中に塾の宿題を必死にやるという「イタイ」ことをしてしまいます。

かつての「自分で考える」主体性を求められていた受験勉強に、
塾による「制度化」がはじまっているのです。

続きます
続きはこちらからどうぞ!

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おおたとしまさ『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』①

兵庫県の片田舎出身の私。

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そんな私が東京の私立高校に進学したときのこと。
その時は、首都圏の圧倒的エリートが通う「筑波大学附属駒場高校」も知らなければ「開成高校」も知らず、中高一貫校というものがあることも東京で初めて知りました。
(もっといえば「中学受験」という制度や「国立の高校」の存在も知りませんでした)

首都圏のみ、異常に受験熱が高いことに【がく然】としたものでした。

私は、中・高・大一貫教育(もっというと「小」からも)の場所に高校から入っています。

そのため、「生まれも育ちも関東」で、なおかつ「中学受験を経験している」「中学からの持ち上がり組」の同級生から、高1のときの私はどう見られていたのか、いまさら怖くなります。

兵庫の片田舎とは受験のルール自体、違っていたのですから・・・。

 

さて、本書『ルポ塾歴社会』は、首都圏(一部、関西も)の「究極のエリート教育機関」となっている2つの塾についてまとめた本です。

 東大合格者数ランキングの上位に名を連ねる学校のほとんどは、私立もしくは国立の中高一貫校。2015年の上位を挙げれば、開成、筑波大学附属駒場、灘、麻布、駒場東邦、桜蔭、聖光学院など。
これらトップ校に入るための中学受験塾として圧倒的なシェアを誇り、ひとり勝ち状態にあるのが「サピックス小学部」だ。そしてこれらトップ校の生徒たちが大学受験のためにこぞって通うのが「鉄緑会」えある。つまり、「サピックス小学部」の上位クラスの子供たちがトップ校に合格し、入学後は「鉄緑会」に入るという流れができている。(・・・)
東大合格率ナンバーワンの筑波大学付属駒場中学受験合格者数に占める「サピックス小学部」出身者の割合は、2015年で7割を超えている。また大学受験の最難関である東大理Ⅲ(医学部)の合格者のうち6割以上が「鉄緑会」出身者で占められている。
たった2つの塾が、この国の「頭脳」を育てていると言っても過言ではない。「学歴社会」ならぬ「塾歴社会」である。(3-4)

兵庫の片田舎にはそもそも「中学受験」なんて選択肢は事実上、ありませんでした。

にもかかわらず、「中学受験」の「名門」に受かるための塾があり、
その塾のエリートたちが再び「東大」合格のために入る塾がある。

恐ろしい現実があるなあ、と実感をしました。

その存在が何をもたらしているか、本書『ルポ塾歴社会』では述べられています。

詳しくは「続き」を!
続きはこちらからどうぞ。

2Q==☆『ルポ塾歴社会』。こちらからお求め頂けます。

 

 

 

大平レポート② ビブリオバトルって、知ってますか?

〜大平亮介さんのFBよりの記事です〜

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ビブリオバトルというゲームをご存知でしょうか?
本の紹介を通してコミュニケーションを深めるのに最適なツールです。

ルールは簡単です。
① 読んで面白いと思った本を持ち寄ります
② 順番に1人5分間で本の内容を紹介します。
③ 発表後に2~3分間で本の内容を共有します。
④ 最後に発表を聞いて「一番読みたくなったか」を基準に一人一票で投票を行います。
⑤ 最多票を集めた本を「チャンプ本」とします。

コンセプトは「本を通して人を知る、人を通して本を知る」。
本の紹介を通してその人の思考や性格を垣間見ることができます。また、好きな読書のジャンル違う人から紹介される本は刺激的です。

だからビブリオバトルは面白いのだと思います。
参加者と一冊の本があれば、どこでもできますし、さらに相互理解も深まります。

帯広でも、実は実施中!

次回は4/21(木)開催します!(毎月第3木曜日19:00-20:30に開催中)
ぜひ会場の帯広市図書館まで!!!

イベントページはこちらです!!!

大平レポート① 浦幌町の「チーム議会」

☆帯広市図書館で司書として活躍する大平亮介さん。
彼のFacebook記事には、とても「いい記事」が多いです。
そのため、今後「日本ノマド・エジュケーション協会」ブログでも本人の了承のもと、転載していきます。

 

浦幌町議会(北海道十勝管内)では議員さんが1人欠員になっている現状を踏まえて「チーム議会」という取り組みを始めました。
意見も募集しているとのことなので、送ってみました。

取り組み政策として「気軽に対話できる議会」を挙げています。
意見交換会だと、最初は参加のハードルが高いので思うので、本を紹介するゲーム・ビブリオバトルを取り入れたワークショップの開催を提案してみました。

これまで何十回もビブリオバトルに参加しているのですが、違う年代とのコミュニケーションの方法として最適かなと思います。

大平 亮介さんの写真

「科学のハコ」、実施中!

こんにちは、Kumagaiです。

「科学って難しくてよくわからない…」

そんな声を塾で関わってきた生徒さんたちから聞いていました。

そうは言っても
身の回りにあるものは科学の力があってこそ成り立つものがたくさんあります!!

あなたが今このサイトを閲覧するために使っているスマホ、パソコンはまさに科学の英知の結晶です✨

「なぜ?」「どうして?」を一緒に「科学のハコ」を開いて楽しく紐解いてみませんか?

 

⇩以下は最近行ったイベントです⇩

つながるコワーキング札幌』で「科学のハコ」のイベントを行ってきました。
非常にありがたいことに、「楽しかった!」と言って帰ってくださるお客様もいました。

参加してくださった方々、このような機会を設けてくださった方々に感謝です!!
まだまだ駆け出しなのでより楽しんでいただけるよう創意工夫していきます!

熊谷 優花さんの写真
熊谷 優花さんの写真
また、違う実験内容でも活動しておりますので、
興味を持ってくださった方、 ぜひ、ノマドエジュケーション協会にお問い合わせください!
【次回のお知らせ】4/24(日)10:00-11:00、育てるコワーキング札幌(北18条東1)にて開催!
大人も楽しめる科学のハコvol.4「磁石にくっつけ!メタル・スライムを作ろう!」編
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【お知らせ】札幌カフェ土曜イベントをみんなで考えよう!

札幌駅北口から歩いてすぐ!
北海道大学のそばにあるオシャレな喫茶店「札幌カフェ」。

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便利な場所なので私もよく使っています。
(「札幌公務員学院ビル」1Fです)


そんな札幌カフェ。
土曜日のイベント立案・運営に、私・藤本が関わらせてもらうことになりました!
(開始時期は5月からです)

 

それを受け、昨日「札幌カフェでどんなイベントをすると楽しいか」ディスカッションを開催!

出た案をご紹介します!

・アツイ読書会(もっと純粋に学問をみんなで学び、語り合う)
・日本酒ナイト(女性限定で、日本酒好き女性に来てもらう)
・ネガティブナイト (自分のネガティブな感情をひたすら書く)
・瞑想ナイト
・Ubuntuナイト
・MINIX探検ナイト
・Bottle探検ナイト
・西洋占星術・タロット占いナイト
・尼さんを呼んで行う「仏教ナイト」(純粋に「尼さん」の日常を話してもらう)
・池上彰的な「現代社会」講座をやる
・くすぶっている大学院生に、専門について語ってもらう
・哲学カフェ
・オープンソース読書会
・アップル製品について語るイベント
・TRPGナイト
・田舎暮らしナイト
等など。

☆このディスカッション、飲み会のなかでやっているので、文字に起こすとアイデアが出たときの盛り上がり方が伝わらないのが残念です。

 

 

思えば、以前私は札幌市・豊平区のコワーキングカフェ「Coworking Cafe 36」の日曜バーテンダーをさせてもらっていました。
(Coworking Cafe 36は現在閉店しています。)150x150_square_14428716

 

Coworking Cafe 36では曜日ごとにバーテンダーをするという【曜日バーテンダー制度】が取られていました。

私が日曜バーテンダーをする際、「日曜日にわざわざお酒を飲みに来る人はいない」という前提から考えました。

お酒を飲むのは、どう考えても金曜や土曜。
お休みの日曜にはなかなか飲みに出かけません。
そのため、「イベントを作り、いろんな人に来てもらう」方針で行っていました。

 

 

思えばいろんなイベントをCoworking Cafe 36でやったものでした。

例)
たこ焼きナイト(本場・大阪のコワーキングスペースとスカイプ中継をつなぎ、本場のたこ焼きのコツを伝授してもらう。その後、大阪・札幌の2箇所でたこ焼きをそれぞれ作り、食べるイベント)
うどんナイト/うどんパーティー(当時、北大大学院生だった学生さんの趣味はさぬきうどんづくり。そんな彼に自慢のうどんを打ってもらい、みんなで食べるイベント)
せんきょCAMPさっぽろ(いまの政治・選挙について気軽に話し合うという「せんきょCAMP」の札幌版。いろんな立場で政治について語り合いました)
教育パワーナイト(「教育」に興味のある方々が集まり、お酒を片手に語り合うというイベント)

いろいろなイベントをやったもんですね。
好評につきシリーズ化したものも多くあります。

 

あのときのイベント開催を通し、様々な出会いがありました。

あの情熱をもう一度、札幌でやりたいなあ、と思っています。

札幌カフェのイベントも、単なるイベントではなく、
大人も真剣に取り組むことができ、「来てよかった!」と思え、
あらたな繋がりの得られる場にしたいと思っています。

Coworking Cafe 36の頃と違い、今回は(比較的)集まりやすい土曜日です。
土曜の札幌カフェでどんなイベントをやると楽しいか?
ぜひアイデア等、お寄せくだされば幸いです。

 

なお札幌カフェの利用規約はこちら

札幌カフェ利用規約

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松永桂子『ローカル志向の時代 働き方、産業、経済を考えるヒント』

今年4月から、「私立高校教員」から「個人事業主」になる私。
ちょうど先日、札幌の税務署に「個人事業の開業届出」を出しに行きました。

そんな私にとって、【「個人事業主」こそが社会を変える!】的テーマで書かれた本書『ローカル志向の時代』はすごく面白い本でした。

 

2Q==

いま北海道・札幌市で4/7開業の塾設立に向けて動いています。

そんな私が勝手に「ロールモデル」としている人がいます。

それがイケダハヤトさん。

日本の元首相・池田勇人と名前がかぶるので、
あえてカタカナにしているプロブロガー。

 

イケダハヤトさんは、1986年生まれ。
早稲田大学政治経済学部2009年卒業。

私は1988年生まれ(早生まれ)で、
早稲田大学教育学部2010年卒業。

リアルに、同じ時期に、同じキャンパスにいたことになります。(密かな自慢)
(注 文学部を除く純粋文系の学部は、「西早稲田キャンパス」《現 早稲田キャンパス》にありました)

東京を捨てて「高知県」の「限界集落」に引っ越したイケダハヤトさんは、
教員時代から私のあこがれの人でした。

Z☆イケダハヤトさんの本の中でも、『新世代努力論』は「何を頑張るか」悩んだ時に役立つ本です。

私も、私立高校就職を機に東京を捨てて「北海道」に引っ越したからです。

 

いま私が住んでいる「札幌」を「地方」と言ってしまってもいいのかどうか微妙ですが、【北海道・札幌から日本の教育を面白く!】という私の目標にはゆらぎはありません(多分)。

イケダハヤトさんはじめ、「東京」以外の「地方」で活躍している若手がいまたくさんいます。

 コミュニティという言葉に敏感な世代の動きは多様化しています。農山村志向は象徴的ですが、地方であっても、都市であっても、下町であっても、顔が見える範囲でフラットな関係を築きたい、一方で、社会でなにかしら貢献したいという傾向は深まりをみせています。
あながち、「ローカル志向」を深めている背景は、ソーシャルネットワークによって支えられている部分が大きいといっても過言ではないでしょう。この世代はソーシャルネットワークを介して、ゆるやかなつながりを保とうとする傾向があります。自分の活動を孤独に遂行するというよりは、誰かに知ってもらいたい、共有したい、何らかのかたちで評価してもらいたいという気持ちがあります。そういうと大げさに聞こえますが、大なり小なり自らの活動の意義を確かめたいという動機、社会システムのなかで自分の立ち位置を明確にしたいという社会的欲求に支えられているようにみえます。
これは会社など組織への帰属意識が薄れ、個人と社会の距離感が近くなってきていることを意味します。これまで隔たりがあった個人と社会の距離感がぐっと近くなることによって、顔の見える範囲の社会といえる「地域」が存在感を高めてきています。(4-5)
☆アンダーラインは引用者です。

いまの時代、地域に根ざした「新たな自営」が存在感を高めています。

 いま「小商い」「ナリワイ」と呼ばれる「新たな自営」が存在感を高めつつあるのは興味深い現象です。これらは新技術・新分野の領域ではなく、従来型の産業の上にまたがる領域であるのが特徴です。前述のように、企業数は年20万人以上で推移しており、事業所数・企業数の減少率と比べるとその数は際立ちます。(64)

 

フリーランスとして地域で活動している人。
札幌にもたくさんいます。

本書にはそういった「新たな自営」として地域で生きるためのコツも書かれています。

地域や同業種のなかにゆるやかに帰属意識を持つことが大事になります。難しいことのようですが、経済原理は競争だけではなく、協調によっても成り立っていることを認識し、利益を追求しながら他者と共存を図るのです。
その際、同じような業種の仲間が近くにいるというのは案外、大事なことです。古今東西、歴史的にみても同業者集団が経済的にも、そして政治的にも社会のなかでプレゼンスを高めていく構図は見られます。同業者集団というのは内輪だけの理研獲得のイメージが先行しますが、危機の際にはリスクを分け合い、平準化する役割も果たします。(70-71)
アンダーラインは引用者。

地域で「新たな自営」としてやっていく以上、「同業者」とも連携することで出来ることは増えていきます。

ちょうど私も、札幌で塾をやっている人で始めた「一般社団法人Edu」に関わっています。
(なにげに「創設メンバー」です)

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「新たな自営」が1人ではできないことも、
グループで関わることでできることが広まります。

 

さて、本書『ローカル志向の時代』には「ローカル」での活動の例として波佐見焼(はさみやき)をとりあげます。

波佐見焼とは・・・。

長崎県東彼杵郡波佐見町が産地で日用食器の源流とされてきていましたが、現代的なシンプルなデザインが脚光を集めています。(・・・)
もともと、波佐見焼は長く隣町の有田に隠れた存在でした。高級志向の有田焼と異なり、波佐見焼は量産の日用品を得意としてきました。有田焼の生地作りや型起こしを担ってきた窯元も多く、伝統の技術に裏打ちされた商品スタイルの幅がひろいことが特徴です。(119-120)

私も使っていますが、軽くて薄くて使いやすい。
便利なお皿です。

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マルヒロでは地域おこしとしてアメリカのデザイナーと組んで「ものはら」ブランドを立ち上げるなど、古くて新しい価値を提供しています。

 

かつて「個人事業主」はダサい対象でした。
そこに「新しい自営」という新しい価値を与えるのが本書『ローカル志向の時代』です。

古くて新しい価値としての「新たな自営」。
私も札幌の塾経営を通し、実践したいと思っています。

 

 

本田由紀『教育の職業的意義』を読む。

今月3月末を持って、私立通信制高校を退職しました。
これからは「作文教室ゆう」「北海道学習塾ゆう」の主宰・塾長として、
これまでの経験をもとにさらに活動していこうと思っています。

そんな際に読んだのが『教育の職業的意義』。
ちょうど札幌で毎月やっている【読書会@札幌】というイベントで、今月26日に行ったのが本書でした。

2Q==

これまで「学校」と「会社」とのつながりをいうことは「タブー」でした。

「教育という神聖な営みに、会社というものを扱うのは間違っている!」(学校側)
「どうせ学校でやってることは役立たないから、会社でビシバシしごきますよ」(会社側)

これまでは両者は互いに敵視しあう関係でした。

日本の景気が良かった頃(産業構造が変化するまで)は上手くいっていました。
ですが今は社会が大きく変化し、これまで通りでは行かなくなりました。

だから、「キャリア教育を学校でやろう!」(学校側)、
「学校ではもっとコミュニケーション力やクリエイティビティを高める教育をやってもらいたい」(会社側)というように言われるようになっています。

それに対し、本田はこれら既存の方針に批判をします。

単にキャリア教育を行ったり、「コミュニケーション力」教育や「クリエイティビティ」教育(本田は「ハイパー・メリトクラシー」という形でまとめ、批判的に見ています)を行ったりするだけでは、結局は現状は何も変わらない、という指摘です。

そうではなく、いま一度「教育の職業的意義」を考え直し、
「教育」と「職業」とのリンクをもっと強固にすることを指摘しています。

方針として本田は「柔軟な専門性」という概念を挙げます。

それゆえ教育の職業的意義は、のちのちの知識やスキルの伸長・更新・転換を見込んで構想・設計される必要がある。すなわち、特定の個別の職種にしか適用できないような、がちがちに凝り固まった教育ではなく、ある専門分野における根本的・原理的な考え方や専門倫理、あるいはその分野のこれまでの歴史や現在の問題点、将来の課題などをも俯瞰的に相対化して把握することができるような教育である。それは、一定の専門的輪郭を備えていると同時に、柔軟な発展可能性に開かれているような教育である。本書は、このような意味での教育の職業的意義を表現するために、「柔軟な専門性(flexpeciality)」という概念を提唱する。(14)

例えば、福祉についての専門知を学んでいると介護職につかなくても様々な点で役立てていくことができます。
(看護の現場での高齢者との関わり方や接客業で高齢者と関わる時など)

単にその仕事でしか役立たない専門知を学校で教えてしまうと、
もったいない結果となってしまうことがあります。
その上で、本田は企業経営者が若者に会社への〈適応〉のみを求める視点に疑問詞をしています。

現在の若者には単なる企業への〈適応〉のみではなく、〈抵抗〉の仕方にも教育していくことを主張します。

ここで記述されているような「労働法の基本的な構造や考え方」および「職業選択や就職活動に必要な事項」は、適切な〈抵抗〉のための教育の必須条件と言える。(202)

本書の最後で、本田は「なぜ『教育の職業的意義』という本を書いたか」という問題意識を綴っています。

現在の日本社会では、教育を受けるには個人や家庭が多大な費用を負担しなければならず、かつ受けた教育がその後の生活のたつきを築く上でいかなる意味があるのか不明である場合が多く、それにもかかわらず教育が欠如していることはさまざまな不利を個人にもたらす。しかも、教育から外の社会や労働市場に出れば、ある程度安定した収入や働き方をどうすれば獲得できるかの方途も不明であり、一度不安定なルートに踏み込めば、その後の挽回の機会は著しく制約される。度を越しての過重な仕事、あまりに賃金の低い仕事にはまりこむ危険の高さは、まるでおびただしく地雷の埋まった野原を素足で歩いていかなければならない状態と似ている。(214)

だからこそ「教育の職業的意義」を捉え直す発想の主張へのつながっていくようです。

 

・・・ただ、思うのは「教育」で人の職業キャリアや「生き方」まで本当に伝える事ができるのか、ということです。

学校で「柔軟な専門性」を学んでも、
それを活かしていけるかどうかはその生徒次第です。

学校で学んできたことを確実に/したたかに使っていける生徒をどこまで育てられるか?

そのためには、ある程度の「社会経験」も必要な気がします。

努力する人間になってはいけない』には、専門学校生と大学生の違いとして「コミュニケーション力」をあげています。

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「専門知」を集中的に学ぶ専門学校生に対し、
大学生はそもそも勉強をせずアルバイト/サークルで「社会経験」「コミュニケーション」を積んでいます。

その結果、就職の面接で「遊んでいた」大学生が「コミュニケーション力」を発揮して受かってしまうことを嘆いています

学校側が努力するのはもちろんです。
その上で、学び手たる生徒が「職業」を選択し、
〈適応〉と〈抵抗〉の手段を身に着けていくことが重要になってくるでしょう。

 

・・・「高校教員」を辞めた後だからでしょうか、
やたらと響いてくる本でした。

羽生善治・茂木健一郎, 2010, 『自分の頭で考えるということ』大和書房.

茂木 将棋は世界遺産みたいな気がしてきました。どんどんネットワーク化して、情報をただ持ってくる、あるいは流すということで、思考が希薄化していく現代において、何の助けも借りず……つまりコンピュータの持ち込み可にもまだなっていないし、インターネット持ち込み可にもなっていない、将棋盤だけを前にして知性と知性のぶつかり合いが八時間行われている。こんなピュアな場って、もう他にないですよ。(150)

 

会議・研究会などでもパソコン持ち込み・ネットをつなぐというのが普通になっている現在、PCもネットも使わない将棋のプロは天然記念物になるつつある。

スマホやタブレットなどにより、純粋に「頭」だけで考える場が少なくなる昨今、改めて「自分の頭で考える」ことの意義を羽生善治の主戦場・将棋界をテーマに考察していく本。

例によって「頭脳」の使い方の名手である羽生善治に、脳科学者の茂木健一郎が質問しまくっていくという形である。

 

対局中にスマホもインターネットも使わず、自分の頭だけで行う将棋の世界。
にもかかわらず、最新の棋譜をネットで調べ、対策・研究に余念がない。
情報戦とその分析を「高速道路」に例えて対談が続く。

羽生 ただ、ちょっと話が出た高速道路みたいなもので、皆が一斉にそこまで走れるようになったけれども、その先はどうなるかという時、やはり昔ながらの力と力のぶつかり合いに戻ったし、むしろそこが大事になってきているんです。だから昔に戻ったといえば戻った感じで、そこに至るまでのプロセスが若干変わったかもしれない、ということですね。
茂木 でもとにかく高速道路で行けるところまでは行かないと、そもそも勝負に参加できないと。
羽生 そのとおりです。
茂木 まいったねぇ。(28-29)

つまりネットを使った「高速道路みたいなもの」で情報分析をしていないと、自分の頭でも勝負できなくなってきているのだ。

茂木 最近つくづく思うんですけど、たとえば小説家になりたいという若い子は大勢います。ところが彼らの多くは小説がまだ、古き好きロマンの世界だと思っている。でも小説について打てる手は、もうある程度決まっているんです。小説だけではなく、人間関係やビジネスのやり方など、いろいろなものが実は「有限の組み合わせの順列組み合わせ」みたいなものになっている。それに気づいているか気づかないかで、かなり人生観も変わりつつあるのではないか。古いタイプの人間がさまざまな分野で駆逐される結果になりつつある気がしますね。(34-35)

将棋の戦法も時代時代の研究によって変わっている。
その戦法も、言うならば「有限の組み合わせの順列組み合わせ」。

限りある選択肢の中でベストのものを選択していく。
この姿勢が「小説」はじめあらゆる職業世界でも行なわれている。

最後に考えるということについて。
深く「考える」ことと情報検索で視野が「広がる」ことの違いの指摘。

ちょっと参考になった。

茂木 僕も、文章を書いている時、何か気になる単語があったりするとグーグルやWikipediaで調べてしまいます。それを読んでいる時、たしかに思考は広がるけど、広がることと考えることは違いますもんね。(149)

 

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