私の周囲では「心が折れる」「つぶれる」「やられる」という言葉をしばしば、聞く。

仕事のなかで、やる気が極度になくなるとき、そういった言葉が出てくる。

かくいう私も、学生時代はあまり心折れない方だった。
しかし、大学院生以降、しばしば心折れることが、ある。

本書は、心折れても、あるいは「心折れそうなとき」、もとに戻す・元気になるための方途を説明している。

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心折れそうになっても「立ち直る」力。
それを本書では「レジリエンス」という。

このレジリエンスは、学習可能なものである。
(そうでなければ、本書を読む必要はなくなってしまう)

レジリエンス。

「変化や危機は避けられないもの」と捉え、「変化に適応できるように自分たちが変わらなくてはいけない」という積極的な姿勢がグローバルな政界・経済界のトップの主流になりつつあります。(4)

時代や状況、職場・人間関係が変化しても、その変化に自分が対応して適応していけることがレジリエンスの基本のようだ。

レジリエンスの高い人の特徴としては、大きく次の3つが挙げられます。
1つめが「回復力」で、逆境や困難に直面しても、心が折れて立ち直れなくなるのではなく、すぐに元の状態に戻ることができる、竹のようなしなやかさをもった心の状態です。
2つめが、「緩衝力」で、ストレスや予想外のショックなどの外的な圧力に対しても耐性がある、テニスボールのような弾力性のある精神、いわゆる打たれ強さを示します。|
3つめが「適応力」で、予期せぬ変化や危機に動揺して抵抗するのではなく、新たな現実を受け入れて合理的に対応する力です。道路の亀裂から芽を出して生存し、花を咲かせて繁栄するタンポポが「変化適応力」のひとつのメタファーとなります。(5-6)

では、具体的にはどのような人がレジリエンスのある人であるか。

ハードに仕事をしながらも、心が疲れにくい人は、レジリエンスを鍛える|習慣をもっていることでした。
その習慣とは、以下の3つです。

①ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る習慣
②ストレス体験のたびにレジリエンス・マッスルを鍛える習慣
③ときおり立ち止まり、振り返りの時間をもつ習慣(7-8)

具体的には、レジリエンスを身につけるため、散歩などで体を動かすこと、「ありがとう」ということ、などなど、(この手の本としては月並みな)解決策を提示する。

その辺のオチが残念な本ではあるが、心折れずに元気に過ごすことを「レジリエンス」能力として日本語において定義した点において、本書には価値がある(ように感じる)。

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