兵庫県の片田舎出身の私。
そんな私が東京の私立高校に進学したときのこと。
その時は、首都圏の圧倒的エリートが通う「筑波大学附属駒場高校」も知らなければ「開成高校」も知らず、中高一貫校というものがあることも東京で初めて知りました。
(もっといえば「中学受験」という制度や「国立の高校」の存在も知りませんでした)
首都圏のみ、異常に受験熱が高いことに【がく然】としたものでした。
私は、中・高・大一貫教育(もっというと「小」からも)の場所に高校から入っています。
そのため、「生まれも育ちも関東」で、なおかつ「中学受験を経験している」「中学からの持ち上がり組」の同級生から、高1のときの私はどう見られていたのか、いまさら怖くなります。
兵庫の片田舎とは受験のルール自体、違っていたのですから・・・。
さて、本書『ルポ塾歴社会』は、首都圏(一部、関西も)の「究極のエリート教育機関」となっている2つの塾についてまとめた本です。
東大合格者数ランキングの上位に名を連ねる学校のほとんどは、私立もしくは国立の中高一貫校。2015年の上位を挙げれば、開成、筑波大学附属駒場、灘、麻布、駒場東邦、桜蔭、聖光学院など。
これらトップ校に入るための中学受験塾として圧倒的なシェアを誇り、ひとり勝ち状態にあるのが「サピックス小学部」だ。そしてこれらトップ校の生徒たちが大学受験のためにこぞって通うのが「鉄緑会」えある。つまり、「サピックス小学部」の上位クラスの子供たちがトップ校に合格し、入学後は「鉄緑会」に入るという流れができている。(・・・)
東大合格率ナンバーワンの筑波大学付属駒場中学受験合格者数に占める「サピックス小学部」出身者の割合は、2015年で7割を超えている。また大学受験の最難関である東大理Ⅲ(医学部)の合格者のうち6割以上が「鉄緑会」出身者で占められている。
たった2つの塾が、この国の「頭脳」を育てていると言っても過言ではない。「学歴社会」ならぬ「塾歴社会」である。(3-4)
兵庫の片田舎にはそもそも「中学受験」なんて選択肢は事実上、ありませんでした。
にもかかわらず、「中学受験」の「名門」に受かるための塾があり、
その塾のエリートたちが再び「東大」合格のために入る塾がある。
恐ろしい現実があるなあ、と実感をしました。
その存在が何をもたらしているか、本書『ルポ塾歴社会』では述べられています。