LBGT

大平レポート⑤ 当事者が「声」を上げるということ

〜大平亮介さんのFBよりの記事です〜

読んだ本のなかで勉強になったことがあるので書きます。

社会的に弱い立場にある人やマイノリティの人たちが抱える社会的な課題は可視化されにくいといわれています。

なぜならば、当事者が声を上げて現状を伝えることが難しいからです。
社会的課題として認知されなければ放置され解決策が生まれません。

そのため、社会的課題として認知度を高め、解決すべきという世論を育てる必要があります。
世の中には少子高齢化の問題、介護の問題など、優先順位の高いものから着手される傾向にあります。行政や議員が優先順位を決める傾向は2つあります。

① 質的要素
・今すぐ支援が必要なことか?(優先度)、命に関わることか?(深刻度)といった要素

② 量的要素
・「どれくらい困っている人がいるのか?」「どれくらいニーズがあるのか?」といった量的な要素。

これら2つの要素を勘案して社会的な課題解決の優先順位を決めていると考えられます。
つまりマイノリティに関する社会的な課題でもこの2つの要素を補強する証拠を整えることができれば、希望がみえてきます。

例えば、僕が取り組んでいるLGBTに関する問題の場合、当事者は人口の3~5%存在するといわれています。

クラスに1~2人いる計算ですが、社会的な無理解やカミングアウトの有無などによって存在が見えにくいといわれています。
つまり当事者の声を聞くことが難しいということです。
研修や勉強会でこのことを話すと「そんな人いるの?はじめて聞いた」という反応が返ってくるが多いです。

いま考えているのが、道内に住む当事者の方にTwitterなどの匿名性が高いツールで学生時代の困りごと、うれしかったことなどの事例を集めようと考えています。これが質的要素を高めることに役立てます。

なぜ、道内で調査するかというと課題への距離感をぐっと縮めるためです
たとえば、「アメリカの○○州の当事者から話を聞いて事例集にまとめました!」というよりも「学生時代を道内で過ごしたLGBT当事者の方に当時困っていたことを聞いて事例集にしました!」のほうがよっぽど課題が身近になります。

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参考文献:明智カイト『誰でもできるロビイング入門』光文社新書,2015
☆こちらからもお求め頂けます。

根井雅弘『経済学3つの基本 経済成長、バブル、競争』ちくまプリマー新書,2013.

 

 

 

 

 

 

ちくまプリマー新書や岩波ジュニア新書は、中高生向けに学術を語る。
それだからこそ、大人が読んでも十分に役立つ。

今日はそんな勉強の一環で、『経済学3つの基本』の抜粋集。

 

ふつうの経済学の教科書では、最初のほうで「消費者主権」という概念を習いますが、これは企業は消費者の嗜好や選好を忠実に反映するような生産をおこなうという規定を指しています。しかし、ガルブレイスは、これは現代資本主義の特徴を捉えていないと考えました。なぜなら、現実には、企業のほうが広告や宣伝などを効果的に駆使して消費者の欲求を創り出しているからです。この意味で、欲求は生産に「依存」していることになります。それゆえ、ガルブレイスは、これを「依存効果」と呼びました。(19)

ガルブレイスの眼は、たんに経済成長至上主義への疑問に向かっているわけではありません。「依存効果」が民間の経済部門に協力に作用している限り、資源は民間部門に優先的に配分されるはずです。それゆえ、豊かな社会であるにもかかわらず、公共部門がきわめて貧しい状態に放置されやすいのです。ガルブレイスは、これを「社会的バランス」の欠如と表現しましたが、これはもちろん「市場」に任せるだけでは解決できない問題です。
ガルブレイスは、このように、アメリカのような豊かな社会でも依存として公共部門の「貧しさ」が残っているという問題を、『ゆたかな社会』というタイトルの本の中で見事に指摘しました。私たちはそのタイトルに紛らわされてはなりません。(22)

マーシャルは、もともと、経済学が「富の研究」であると同時に「人間の研究」でもあることを強調していました。そして、人間性というのは時代とともに「進歩」するし、またしなければならないと堅く信じていました。(35)

 

マーシャルはよく「余暇を立派に利用することを学ぶ」と表現しましたが、現代日本では、たとえ「余暇」ができたとしても、それを活かしきっていない、あるいは、余った時間をまるでルーチンワークを消化するかのように無自覚に費やしているような若者をときどき見かけます。しかし、真の豊かさを実現するためには、自発的かつ明確な目的意識をもって余暇をみずからの潜在能力を伸ばすために使うような態度を身につけるべきではないでしょうか。(37)

私たちはふだん「競争」という言葉を何気なく使っていますが、以前にもどこかに書いたように、偉大な経済学者の「言葉遣い」には意味があることを繰り返し指摘したいと思います。古典派の人々は、資本が最大の利潤率を求めて自由に書く産業間を出入りする可動性のことを「競争」と理解することによって、私たちの生きている社会がまさしく「資本主義」に他ならないことを教えてくれました。(97)

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大平亮介のセクマイ講座①

「20人に1人」LGBTを知っていますか?

みなさんの身の回りにはLGBTの当事者はいますか?

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った性的マイノリティ(性的少数者)の人たちのことを指した言葉です。

電通総研が7万人を対象にした2012年の調査によると、5.2%はLGBTの当事者であることがわかりました。つまり約20人に1人は存在するということになります。

20人に1人ということは40人クラスであれば2人はLGBT当事者がいるということです。では、なぜその存在は気づかれにくいのでしょうか?

要因の一つとして「カミングアウト」の問題があります。
カミングアウトとは、家族や友人、先生など、身近で親しい間柄の人に、異性愛者ではないことを伝えることです。

いわゆる「オネエ系」に代表されるように日本では、LGBTが嘲笑の的になりやすく、そういった環境に置かれた当事者たちは、「偏見の的になるのではないか」「今までの関係性が崩れるのではないか」という不安から、なかなかカミングアウトできずにいることも多いようです。そのため、なかなか存在に気づきにくいのです。

異性愛的な価値観を前提とする社会において、LGBT当事者はそれぞれの生きづらさを抱えています。
たとえば、思春期になると、周囲で恋愛の話や異性関係の話が頻繁に出てきますので、自身のセクシュアリティ(性のあり方)について強く意識するようになります。
こうした中で、カミングアウトのできない当事者は、異性愛者として振る舞うことを余儀なくされます。そこから葛藤やストレスが生まれ、ますます孤立感を深めてしまうという悪循環に陥りやすくなります。

では、こうした生きづらさを解消するためには、どのような方法があるのでしょうか?
一つの方法として、周囲からLGBTへの肯定的、受容的な環境をつくることが挙げられます。

具体的にはLGBTへの理解、支援をする人たちを「Ally(アライ)」を増やしていくことです。Allyの人が周囲の人々にLGBTに対する肯定的な態度やメッセージを発することで、徐々に理解が深まるのではないかと思います。

今回、こうしてブログでLGBTに関する情報を発信することで、Allyの人が増える小さなきっかけになるかなと思って書かせていただいております。

みなさんもAllyになってみませんか?url

 

大平亮介

【お知らせ】図書館司書・大平さんによる「セクマイ講座」連載予定

本「日本ノマド・エジュケーション協会」ブログですが、
基本的に事務局長の個人ブログとなっていました。

ですが、今年からは「日本ノマド・エジュケーション協会」の活動に協力してくださっている方にも、記述をお願いしていこうと思っています。

その流れで、大平さんによる「セクマイ講義」(=セクシャル・マイノリティ)を連載していただく運びとなりました。

ぜひ、ご覧いただければ幸いです!

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