書評:上田浩『壊れかけた教師たち』グラフ社(2008)
教員稼業をやり始めて3ヶ月。
私の勤務先は「私立通信制高校」という、教員業界ではマイナー中のマイナー。
どちらかというと「塾」に近いような場所であるため、「ふつう」の教員の発想形態やハビトゥスが「よくわからない」のである。
その点、この『壊れかけた教師たち』はサブタイトルどおりの内容だ。
「意外と知らない教師の日常」。
こういう内容を謳う本は多いが、たとえば「教師とAV」(77ページ)や「教師のズル休み」(92ページ)まで扱うものはほとんどない。
「よく出せたなあ」という内容だ。
共感できるのは「誉められたがりの教師たち」(103ページ)。
教員なんて、勉強だけできて(出来ない人もいるけど)「嘘がつけない」ような人が多い職種だ(と私は考えている)。
そのため、 「誉められたがり」な人が多いのはある意味で「幼い」ということなのだろう。
教師って本当はすごく孤独な職業なのではないかということです。日々、多くの生徒と先生に囲まれて、一日中人間相手にしゃべり続ける教師ですが、「だれも本当の自分の気持ちを理解してくれない」という気持ちも人一倍感じやすいのかもしれません。だからこそ、ウソでもいいからだれかに褒めてもらわなければ、やりきれないというところもあるのかも。(105)
教員自身が「子ども」なのかもしれませんね。