一人芝居:権威的な教員像。
[プロ教師の会]の人たちは「教員は体制側の人間だ」という。徹底的に体制側の人間が教員になったときはどんな模様になるのだろう? 想像して書いてみた。これをうまく演技すると、ちょっと面白いコントになるのではないだろうか。
本当の教員はフレンドリーな顔で生徒/児童に何気なく《権威》というものを教えていく。下に示すのはこのことを確信犯的に行っている教師である。本当の教師は無自覚なまま、下の芝居原稿の内容を生徒/児童に伝えていることがある。《隠れたカリキュラム》とは教員にも隠されたカリキュラムなのである。
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起立、礼。よろしくお願いします。いま立たなかった君、あとで職員室へ来てください。「何で初回からそんなに厳しいの?」といま思ったでしょう。君は見せしめのために処罰されるんだ。文句は言わせないよ。
さて新入学、おめでとうございます。
皆さんはこうして中学校に入学されました。いやー、おめでたい。入学式、すばらしかったですね。教員を見張るため、わざわざ教育委員長や教育長・衆院議員さまに来ていただきました。決して皆さんをお祝いするためにこれらの偉いさんが来たのじゃないですよ。勘違いをしないでくださいね。
ここでは学校は何をするところかをお話しさせていただきます。
学校はですね、権威を学ぶところです。教室では、教員である私が一番偉いんです。私に反抗すると、内申点をさげることができます。私に言うことに従った方が楽ですよ。私以外でも、先生と言われる人、つまり政治家や弁護士・お医者さんなどのいうことは素直に従いましょう。反抗しては駄目ですよ。
学校で皆さんが学ぶのは、上の言うことに愚直に従う態度の大事さです。上が何を言っていても、批判してはいけません。言われたことをそのまま覚えてしまうのです。何でだろう、とか考えることはちっとも大事じゃありません。皆さん方のことをきちんと考えて「先生」といわれる人たちは話しています。ですから「違うんじゃないかな」とか考えちゃ駄目ですよ。
別の言い方をしますと、教えてもらうことに価値があると皆さんに教えるために学校があるんです。皆さんは学校に通っていると、携帯電話をもつようになるでしょう。どんどんもってください。ゲームも買うでしょう。どんどん買ってください。勉強しなくてもいいです。どんどん遊んで、どんどんお金を使って社会にお金を回してください。くだらないことにお金と時間を浪費し、政治とか社会とかに問題意識を持たないでください。
学校で学ぶことの2つ目は、黙って座っていることです。上の人がいっていることを鵜呑みにし、従順でいることを教えてくれるのです。そして企業のため、国のために文句を言わずに働いてくれる労働者を育てるのがこの公立学校の存在理由です。国立・私立のエリート校に通う人たちが未来の社会をきちんと作ってくれます。ですから公立底辺校に通うことになるみなさんは、そのエリートの人たちのいうことをきちんと聞いて、素直に働いて人生を送ってください。ちゃんと年金のお金を払ってください。投票は別にいかなくてもいいです。職場の人に「だれそれさんに入れてよ」と言われたら、素直に入れるか投票を棄権するかしてくださいね。
皆さんは決して私のような「教える」側、上の立場にくることはありませんので、安心して学校に来てください。何も学ばなくてもいいです。日本語を読み書きできればいいです。法律の文書がよめるレベルにまで勉強しないでください。特に、めんどくさい権利を規定している憲法なんて学ばなくていいです。
毎年春と秋に生徒総会という物があります。あれは生徒がこの学校の主権者であるということを対外的にも対内的にも示すためのアピールにすぎません。生徒会という物は教員の仕事を生徒にボランティアでやらせ、教員の仕事を減らすためにあるんです。「この学校を変えれるんじゃないかな」とか変な期待を持ってはいけませんよ。
皆さん、それでは一年間私がいうことをしっかり聞いていってください。なにも考えなくてもいいです。よろしくお願いします。
では起立、礼。ありがとうございました。
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