この本に、次のようにあった。
《ぼくは、スローとはなにかと言われたら、「つながり」と答えることにしています。ローカリゼーションというのは、一度断たれた大切なつながりをとりもどすことですよね》(172ページ、辻)
いま私は一人暮らしをしているが、西早稲田の我が家にはいろんな人が出入りしている。
風呂を借りに来るN君、夜話し合いにくるFさん・Oさん、よく「泊めて」とくるS君、「部屋を貸してください」と急にメールするI君…。ひとりも女性はいないが、たくさんの人がうちを使っている。
人はよく「お人好しが過ぎるんじゃないか」と言うが、私にとってはこの「いろんな人が我が家に来る」生活のほうが好きだ。これこそ「つながり」であり、真の豊かさであると言える気がするからである。
一人暮らしの家に1人で住む。けっこうキツいことだ。 必要以上にプライバシーに配慮していても、孤独さが増すばかりである。
昔の下町長屋にはほとんどプライバシーはなかった。けれどそれと引き換えに「つながり」という豊かさがあったのである。
内田樹も、他人と部屋を共有することの意義を語っている。
大学生がよく欝になるのは、部屋の共有をしないためではないだろうか?