「ダウンシフターズ」。
(ダウンシフトする人)
日本語では「減速生活者」。
ジュリエット・B・ショアが『浪費するアメリカ人』にて提唱した概念のこと。
きょう紹介する『減速して生きる』からの「孫引き」で、
「ダウンシフターズ」の解説をします。
過度な消費主義から抜け出し、もっと余暇を持ち、スケジュールのバランスをとり、もっとゆっくりとしたペースで生活し、子どもともっと多くの時間を過ごし、もっと意義のある仕事をし、彼らのもっとも深い価値観にまさに合った日々を過ごすことを選んでいる(『減速して生きる』5ページ)
大量消費やサラリーマン的長時間労働ではない生き方を選ぶ人たちです。
「そんなに働かなくてもいいんじゃない?」
「もっと豊かにすごしていいんじゃない?」
ある意味「ナマケモノ」なのですが
(著者の髙坂さんは「ナマケモノ倶楽部」の世話人でもあります)、
実はそういう生き方こそ「カッコいい」。
『減速して生きる』を読み終えるとそんな価値観が体内に広まります。
ある意味で、劇薬です。
イケダハヤトさんのブログ並みです。
(『減速して生きる』発刊はかなり前だけど)。
すでにお分かりかもしれませんが、
タイトルの『減速して生きる』とは、まさに「ダウンシフト」することです。
『減速して生きる』を読んで、
「そんなにうまくいくわけ無いじゃん!」という批判も出るはずです。
(髙坂さんは「折り込み済み」のようですが)。
じゃあ、どうやってダウンシフトするの?
それが本書の主題です。
本書『減速して生きる』前半は、髙坂さんの「半生」の物語です。
29歳までの会社勤め。
そのなかのストレスと「この仕事、世の中に役立ってるの?」という不信感。
会社をやめての日本放浪(プラス ピースボート)。
突如「飲食のお店をやる!」と修行の日々。
そして、「一人でもやれる」「忙しくしない」条件のもと、
Bar【たまにはTSUKIでも眺めましょ】開業をする。
池袋駅から徒歩10分。
繁華街を抜けたところ。
地図で見ると、
見事に繁華街を抜けたところにあるのがよくわかります。
わずか6.6坪。
ランチは「忙しい割に儲からない」からやらない主義。
1日の来客目標は【5名】。
18:00開店の23:30ラストオーダー。
飲食店をなめています。
でも「ヒマで繁盛しないのに黒字経営!」(持続可能!)。
それは、徹底的に「自分がなにをしたいか」「何が必要か」分かっているからできることなんだな〜、と気づけます。
昼寝もできるし、
ヒマな時間をいかして自分で「コメ」も「大豆」も自給してしまう!
もっというと、「これをしたい!」というのと並行して、
「これはしたくない!」という思いもあるということです。
例えば・・・
環境に負荷のかかるものは使いたくない!
→無農薬・オーガニックの食材で、素材の味を活かす
大企業・大資本の大量生産品を使いたくない!
→小さなお店・良心的な生産者から直で仕入れる
もっと家族の時間を大事にしたい!
→当初、週1だった定休日を週2に。
(なお、いまは「土日月」の週休3日です。飲食業をなめている感満載!)
でも、この髙坂さんの存在で、【たまにはTSUKIでも眺めましょ】には面白い人がたくさん集います。
そして髙坂さんが「勝手に自己紹介」させたり、
歌を歌ってしまったりする結果、
「世界にそこしか無い」体験のできるお店になってしまいました!
内装もすべて髙坂さん一人がやったもの。
結果的に、徹底的なコストダウンです。
でも、この髙坂さんの姿勢、私は感動しました。
それは私自身の今の悩みにもつながっています。
4年間働いた「高校教員」をやめたあと、
開業届を出し「個人事業主」になった私。
「自分らしく仕事したい!」「仕事を通して、世の中に貢献したい!」という思いを持っています。
が・・・。
正直、
「そんなに忙しくしたくないなあ・・・・」という思いが心全体に広まっています。
せっかく会社勤め(学校勤め?)から降りて「減速」したのに、
バリバリ忙しく働くのは「なんか違う」感を持っているからです。
むしろ、作文教室とイベントを週の半分くらい行い、
あとは「研究」なり「ブログ」なりで食っていきたい。
まあ、まだ作文教室もなにも本格稼働していないのですが、
ことし後半にはこういう生活、成り立たせるのが目標です。
私が勝手に「恩師」「師匠」と呼んでいる、
早稲田大学の岡村遼司先生は、かねがね言っていました。
ゆっくり、やりなさい。
学生のころは正直、あんまり意味がわかっていませんでしたが、
いま少しわかってきた気がします。
自分が何をやりたいか。
何をして、社会をどうしたいか。
自分は何の価値を提供できるか。
自分の生活の仕方も踏まえて考えながら、
「ゆっくり、やっていく」こと。
せっかく教員を「やめてしまった」以上、
もっと考えて行き、自分の塾なりイベントなりで還元していこうと思います。
(「ゆっくり、やる」というのは「減速して生きる」にも通じますしね)
なお私も、髙坂さんのこの【たまにはTSUKIでも眺めましょ】、
環境教育系の知り合いに教えてもらい、何度も行こうとしました。
が・・・。
たどりつけませんでした・・・(泣)。
池袋の喧騒を通っていると、「もう行くの良いや〜」となってしまったのです。
(例「もうラーメンで良くね?」的な)。
こんどこそ、
こんどこそ、
東京に行ったらこの店に行くんだ〜!
北海道に行ってからずっと決意しているのですが、
結局行けずじまい。
今年こそは・・・・。
【お断り】
私の手元にあるのは高坂勝, 2010, 『減速して生きる ダウンシフターズ』(幻冬舎)なのですが、なぜかAmazonにその版がもう出ていませんでした・・・。
入手しやすさを考え、ちくま文庫版の画像・リンクを貼っております・・・。