これ、2013年に読んだ中で久々の当たり本(ある意味当り前)。
行動観察とは「経験を科学すること」(4ページ)。
たとえば、売上の上がらない銭湯。ビールの売上を、カンタンな工夫で59%上げる方法がある。
どうするか?
サウナのテレビの下に、ビールのポスターを貼ればいい(93)。
サウナでは皆、なんとなしにテレビを見る。
その下にビールのポスターがあると、思わず飲みたくなる。
行動観察は、人間の仕草・ふるまいを観察し、そこから新たなヒントを掴む手法なのである。
そのためには観察のほか、社会学や心理学などの知見を行うことが必要なのだ。
行動観察を生かしていくと、たとえば「できるセールスパーソン」のしゃべりや振る舞いを分析し、彼ら/彼女らがコミュニケーションの際に何を行なっているかが見えるようになる。
著者がまとめた「優秀な営業マンと普通の営業マンの違い」(132)はこんな感じ。
①優秀な営業マンは、お客さんとのファーストコンタクトを非常に大事にしている
②優秀な営業マンは、自分よりお客さんのほうが話す時間が長い
③優秀な営業マンはは、お客さんをよく観察して、個別のお客さんのニーズに合う提案をする
④優秀な営業マンは、お客さんに何か必ず親切なことをする(132)
他にも、行動観察をすることで、職場のトラブルや人々のコミュニケーションの問題がうまく解決していくことができる、という。
これ、私にとっては非常に「グッと来る」ものである。
社会学をやっていたため、フィールドワークも参与観察も、日常的にやっていた。
文章を書いたり、概念を分析したり。そんなことを常にやってきたので非常に親和性の高い手法である。
特にいいのは「現場」を大事にする点。
現場に行き、「走りながら考える」「考えながら走る」を実践し、
ビジネスに直で役立つ「ソリューション」を出していく(要は実学的、ということ)。
…というわけで2013年はこの手法を学び実践・応用するのを目標としたい、と思っている。
行動観察の鉄則。
①必ず現場に行って、人間の行動を観察すること 適切な解釈、よい問題解決法(ソリューション)を得るためには、実態を深く知らなければならない。
②根拠のあるソリューションを提案すること ソリューションは、単なる「勘」で出すのではなく、「こういうことが科学的にわかっているから、この実態はこう解釈される。なのでソリューションはこうしたほうがよい」と論理的に説明できなければならない。(13-14)
行動観察をする人間は、最初は現場のプロに学ぶ弟子なのだが、最後はそのノウハウを解き明かして他の人に伝える役割をすることになる。つまり、短期間に弟子から師匠にならなければならない。(85)
この本は隅々まで読み飛ばせないほど、いい「ネタ」に詰まっている。
例えばお金を渡す際に少し手が触れるほうがお客の満足度が上がるなど、「あ、そうだったんだ」という気付きが多かった。
…著者が元・プロ野球選手の古田に似てるなど、「どうでもいい」情報も多いけど。