ひきこもりは「悪」として常に語られる。
「ひきこもってないで、働け」など、世の中の眼差しは厳しい。
でも、ひきこもりの人は「働く」場所が本当に提供されているのだろうか?
本書はその点を問いかける。
ひきこもり歴21年の著者。
筋金入りである。
小気味良い比喩やテンポで「ひきこもり」の良さが伝わる本である。
ひきこもりの人は就職活動をしても、「中卒」や「高校中退」ゆえに排除される。
でも、「働いていない」だけで、世の中は批判する。
大事なのは「ひきこもり」というだけで
「もっと頑張れ」ということの不毛さである。
そうではなく、本書は
「もっとひきこもりを楽しもうよ」と呼びかける。
ひきこもりを楽しむ方法も語られる。
ひきこもりこそ、窮極の省エネゆえ時代の先端であるという
「価値の創造」を行う。
一方的にひきこもり「支援」や
ひきこもり「救済」が語られがちな今、
ひきこもりの持つ「価値」や「楽しさ」を訴える本書は稀有な書である。
「ひきこもり」を充実させ、今を楽しんでいく。
「自分はもうだめじゃないか」というひきこもり者に対し、励ましを贈る本である。