田中優『地宝論』子どもの未来社。

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ここしばらく、日本の「地方」について考えるようになりました。

 

イケダハヤトさんの『まだ東京で消耗してるの?』ではありませんが、
東京以外の「地方」で活動していく可能性について普段考えるようになったからです。

 

 

札幌で各種活動をしていきたい私にとっても、
「地方」をどうとらえるか、必要な支店となっています。

 

田中優さんの『地宝論』(ちほうろん)はそんな中で読んだ本。

タイトルこそ「地方」を名乗っている本ですが、
読んでみるとどうも「反原発」「市民バンク」といった
「反政府」「反経済界」が強い本。
「地方」色ってあんまりないような・・・。

 

 

いまいち「これ本当なの?」という点も多い本ですが、
エネルギー政策について「こんな視点があるんだ!と気付ける本です。

 

 

世界の紛争地と資源の場所を照らし合わせてみると、話ははっきりします。世界の紛争地は、ほぼ5つの地域で起きています。「石油が取れるか、天然ガスが取れるか、パイプラインが通っているか、鉱物資源が豊かか、水が豊かか」の5つです。「宗教紛争」や「民族紛争」というのは、後から取ってつけた理由ですね。実際には、エネルギーや資源をめぐる金儲けのために戦争が起こっているのです。だから戦争を避けたいのであれば、エネルギーを自然エネルギーに切り替えていくことが最も大きなカギになります。(150-151)

 

この本で一番グッと来たのは次の所。

「怖い」内容の部分です。

 

福島の篤農家の方の悲しい話がありました。その人は無農薬・有機栽培でキャベツを育てていたそうです。安全なキャベツを作り、近くの小学校の子ども達に食べさせたくて、毎回届けるのを楽しみにしていたそうです。しかしその畑が放射能によって汚染されてしまった。見た目に変化はなく、見事に育ったキャベツは出荷停止になりました。「もう終わりだ」とつぶやいていたのち、彼は自宅で首を吊って自殺してしまったのです。(4)

 

こういう話を聞くと、
無性に切なくなります。

 

だからこそ、
原発について真剣な議論が必要なんだな、と思います。

 

 

なおこの本。

もとはある新聞社から出版する予定だったそうです。

 

ですが、編集の段で原発関連(再処理工場など)の部分を「削って欲しい」という要望が出ます。

「他の出版社から出していただくように著者の方に相談をしてほしい」(188)と言われ、結局別の出版社から出すことになったとのこと。

 

本当に、そんなことってあるんだな。
出版を控えるほどの内容でもないと思うんだけど・・・。

 

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  1. 鎌田浩毅, 2008, 『ブリッジマンの技術』講談社現代新書. (2)
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