幼児教育に金をかけると効率がいい!(中室牧子『「学力」の経済学』①)

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アメリカで、幼児教育が人生に与える影響を調べた実験が行われた。

それを「ペリー教育プログラム」という。
良質な幼児教育を受けた人と受けなかった人を比較し、「その後の人生」がどうなったかを調べるものである。
なんと40年間にわたり、追跡調査をしている(日本にこんな壮大な研究は少ない)。

ヘックマン教授らは、1960年代から開始され、現在も追跡が続いているミシガン州のペリー幼稚園で実施された実験に注目しました。
「ペリー幼稚園プログラム」と呼ばれるこの就学前教育プログラムは、低所得のアフリカ系米国人の3〜4歳の子どもたちに「質の高い就学前教育」を提供することを目的に行われ、今なおさまざまなところで高く評価されています。このプログラムでは、
・幼稚園の先生は、修士号以上の学位を持つ児童心理学等の専門家に限定
・子ども6人を先生1人が担当するという少人数制
・午前中に約2.5時間の読み書きや歌などのレッスンを週に5日、2年間受講
・1週間につき1.5時間の家庭訪問
という非常に手厚い就学前教育を提供しました。
さらに、このプログラムでは、貧困家庭が直面する「家庭の資源」の不足を補うため、子供だけでなく、親に対しても積極的に介入が行われました。(78-79)

その結果はどうだったか。




つまり、この就学前プログラムに参加した子どもたちは、小学校入学時点のIQが高かっただけではなく、その後の人生において、学歴が高く、雇用や経済的な環境が安定しており、反社会的な行為に及ぶ確率も低かったのです。(…)就学前教育への支出は、雇用や、生活保護の受給、逮捕率などにも影響を及ぼすことから、単に教育を受けた本人のみならず、社会全体にとっても良い影響をもたらすのです。(82)

さて、この「社会全体にとっても良い影響」とはどういうことか。

こうした社会全体への好影響を「社会収益率」として推計したヘックマン教授らによると、ペリー幼稚園プログラムの社会収益率は年率7〜10%にも上ると指摘されています。(…)
社会収益性が7〜10%にも上るということは、4歳のときに投資した100円が、65歳のときに6000円から3万円ほどになって社会に還元されているということです。現在、政府が失業保険の給付や犯罪の抑止に多額の支出を行っていることを考えると、幼児教育への財政支出は、社会全体でみても、非常に割のよい投資であるといえるのです。(82)

つまり、幼児教育に金をかけることが、社会にとっても役立つ、ということである。

保育園の待機児童が問題となっている日本、特に都心部にとって、重要な指摘である。




もっと幼児教育に金をかけよう!

 

9k=

 

★本書は、あまりデータを元に語られない「教育」を、経済学の視点で見ていくというもの。「ご褒美」をあげるほうが成績が上がるなど、いろんな発見がある本。
ちなみに本書は古市憲寿『保育園義務教育化』のタネ本でもある。

2Q==

 

続きはこちら
非認知能力が、人生を決める!(中室牧子『「学力」の経済学』②)

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