2012年 7月 の投稿一覧

働くための、仕事論。

書評:西村佳哲『自分の仕事をつくる』(ちくま文庫)

働き始めると、大学生・大学院生時代以上に考える時間がなくなった。
同時に「プロフェッショナルとは何か」との問いかけが、自分に対してなされるようになった。

日々、仕事に追われていると、「どのような仕事がいい仕事か」「この仕事で何をしたいか」不明確になりがちだ。

そんな時こそ、 本書のような書籍で自己を振り返るゆとりをつくりたいものだ。

 

著者は世界中のデザイナーをめぐり、仕事のやり方・仕事への考え方をインタビューしていく。

興味深いのは「身体性」。
パソコンでデザインの仕事をするときでも、「1ミリの間に10本の線を引く」技術を持つことの大切さが生きる、との指摘。

技術には、それを行う身体が伴う。そして高度に調整された身体においては、感覚の中に美意識が育まれる。
実際にやってみればわかることだが、一ミリの間に一〇本の線を引くには、呼吸の刻み方、集中力、身体全体の骨と筋肉の微細な制御、中心の取り方など、高度な身体感覚が求められる。身構えをつくってからでないと線を引くことはできない。昔はグラフィックデザイナーのアシスタントになってしばらくの間は、線ばかり何度も引かされたそうだ。きれいな線を引くには、烏口の先を砥石で研ぎ澄まし、道具の状態も整えなければならない。その中で磨かれ、身体に刻み込まれる美意識に、尊い価値がある。(33-34ページ)

私も教員職についている以上、プロの仕事をできる自分になりたい。

そのための「基本」の身体的構えの形成がいる。

教員の場合は「発声法」がポイントとなる。

私立通信制高校のリアル②

昨日の続きです。

昨日は私の学校では「生徒と教師の関係が近い」と言いました。

教員と生徒の関わり方は、通常の学校と違います。
他の学校なら「叱る」こと・注意することも、
私の学校では極力受け入れます。

たとえば。
「人見知りで一人で教室に入れない」生徒には
毎日出迎えて「一緒に教室に行こう」といいます。

授業中にじっとしていられず、突然声を出す生徒には会話を心がけます。

何故か階段を一人で登れない生徒には一緒に登ります。

教室がうるさく辛くなった生徒には「職員室で休んでおいで」といい、
職員室まで送っていきます。

私の学校の「当り前」のことですが、周りの話を聞くとそうでもないような学校が多いです。

 (続きます)

私立通信制高校のリアル①

昨日で、生徒の登校日は終了。
夏休みに入りました。

無論、教員はお盆休みのみが夏休みです(5日もあるので、ありがたいものです)。
通信制高校の高校ではレポート提出が不足している生徒、
スクーリング日数が厳しい生徒を対象に「学校でレポートをやりなよ」と
呼びかけをしています。

つまり、1ヶ月の夏休みは「前期のロスタイム」消化のためにもあるのです。
(あとは学校経営や成績処理、新規開拓活動や試験作成などのためにあります)

「楽な仕事」のイメージが教員にはあるようですが、
良心的な教員にとって「楽さ」とは正反対 の方向にあります。

けれど、「楽しさ」は大きいです(「楽さ」に一文字多いだけです)。
通常の学校以上に生徒と教員のつながりは深いです。

今日も昼休みに職員室に降りていくと、
私の机はいつもどおり生徒に占領されておりました。

占領されてもいいように、机の上は常に片付けておくのです 。
(決して書類仕事が少ないわけはなく、未決箱には大量に書類がたまります)

(続きます)

 

やる気の出し方。

「やる気」というのは、全てに通じます。

「やる気」のある人は、明るいです。
「やる気」のある人は、仕事を楽しめます。
「やる気」のある人は、すべてを前向きに捉えます。
そんな「やる気」のある人に、憧れたことはありませんか?

何かを始めてその「やる気」を保ち続けるにはどうすればよいでしょうか。やる気を出すには「まず、やってみること」です。勉強も練習も、はじめるまでが難しいのです。
やり始めると案外やる気が出続け、うまくいくものです。

「まず、やってみる」ためには、例えば「それ以外、やることがない」状況を作り出すと簡単に出来ます。
たとえば読書をするなら電車に書籍を持ちこみ、到着するまで読み続けるという方法があります。自分の家が勉強しにくいなら図書館に行くなどがあげられます。

どちらにしても、「やる気がでない」のは自分自身が悪いわけではありません。
自分を責める必要は全くなく、やる気を出しにくい状況に自分がいるのが理由です。

だからこそ、「やる気」が出やすい環境を自分で作り出すことが重要です。
まずは環境づくりからやっていきましょう。自分の家や部屋を掃除すると、気分も良くなりますよ!

スキルアップのための方法論としての仕事。

仕事は、タダで(しかも金をもらって)スキルを学べる場所だ。

失敗しても「クビ」で済ましてもらえる、ありがたい空間だ。

(経営者は下手すると無限責任になる…)

どうせ働くのなら、スキルを上げるために学ぶ場所にしたい。

さらなるキャリアアップのための、通過点としたい。

どんなにブラック企業であったとしても、

その会社を選んだのは他ならない「自分」だ。

無理やり「働かされる」ということはない。

嫌なら会社に行かなければいいだけのこと。

どうせ自分で選んだのなら、

その仕事から学べるスキルを学び切り、

「骨まで」しゃぶってから先に行けばいいはず、だ。

アレントは「労働」「仕事」「活動」を立て分けて考えた哲学者だ。

仕事とは自分がこの世に存在したことを示す対象であると彼女はいう(アレントは女性です、念のため)。

ただ食うための「労働」でもなく、

周りとあれこれ議論するだけの「活動」でもなく(この「活動」解釈に異論があるのは百も承知です)、

自分がやり遂げる対象としての「仕事」。

「仕事」は本来、「私」が生きた証でもある。

キャリア教育を学んだ者として言わせていただくと、

「キャリア」carrierとは人が「この先歩む」道ではない、という。

carrierとは元々、人が歩いた「後」の道のことをいう。

高村光太郎と同じだ。

「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る」(『道程』)。

日々の仕事からスキルを学ぶ先に、

自分なりのcarrierが出来るのである。

【数学コラム 】「因数分解」や「式の展開」から学べること

因数分解や式の展開って、いったい役に立つのでしょうか?

一つには、因数分解の発想は計算の手助けをするという働きがあります。次のような筆算を見たことのある人は多いと思います。

 

456
× 789
ーーーーーーー
筆算の計算も、もとは因数分解や式の展開の発想を利用したものです。下を見ると、789を700+80+9に分けていることがわかります。

 

456×789 = 456×(700+80+9)
=456×700+456×80+456×9
=359784

(参考:https://okwave.jp/qa/q827227.html

 

数学の場合、複雑な計算をより簡単なものに置き換えることがよくあります。そのことで問題がより容易に解けるようになります。さっきの筆算などはその例ですね。

 

一見、困難に見える悩み(=問題)も、発想の仕方を変えると(=因数分解・式の展開)容易に解けるようになることがあります。この発想の変え方のルールを多く知っている人は、悩みや問題をいろんなやり方で乗り越えられるわけです。自分の悩みや問題も、解決のルールを多く知っていることが問題を乗り越えるためのヒントとなります。

福島から「逃げた」自分と映画の関係性。

映画:鎌仲ひとみ『内部被ばくを生き抜く』(2012)

のほほんと北海道に住んでいると、福島原発事故の話が完全に「風化」しているように感じる。

そのため、PROVOで見た本作は大変衝撃的だった。

福島で生きるため、保育園の屋根を葺き替えたり(放射能がおちないため)、福島県外産の野菜をわざわざ使って弁当を作ったり。

放射性濃度が高い地域に住まざるを得ない人々のことを思うと、大変申し訳なくなる。

その理由は、昨年末に福島のいわき市の私立高校から内定を得ていたのを、「一身上の都合により」辞退したという記憶が呼び起こされるためだ。

私はフリースクールや不登校支援の研究をしていたので、その治験を活かすため札幌の私立通信制高校に来ている。もともと通信制高校が第一志望だったので、もとからいわきの高校は「蹴る」予定だった。

ただ。

こうも福島の実情をドキュメンタリーで観てしまうと、どう考えても「あの場」で働くことの価値を感じてしまう。

 

今更言っても仕方がないことだが、「逃げた」思いは頭の中に残り続ける気がする。

フランク・スミス『なぜ、学んだものをすぐに忘れるのだろう?』より。

「学校での問題は、「生徒が学んでいない」ということではなく、「彼らが何を学ぶのか」である」(13)

「役に立つ学びというのは、普段の生活から時間を割いて真剣な学習に取り組む時に起こるものではない。学びとは、私たちの普段の生活に不可避な行為であり、役に立つ学びは、私たちが普段の心構えでいる時にのみ行われる」(19)

「逆説的だが、暗記しようとする努力は理解を破壊してしまうので、結局は暗記を妨げてしまう」(143)

「どんな学校であれ、自由化された学校の本質は、「コミュニティであること」です。校長、教師、アシスタント教師、そして生徒といった階層社会ではなく、おもしろい活動に取り組むために人びとが集まる場所であるべきなのです」(168)

 

【お知らせ】札幌市市民活動サポートセンターに登録に行きました

細々と活動をしてきました、日本ノマド・エジュケーション協会

さらなる活動の「飛躍」をめざし、いま札幌市市民活動サポートセンターに市民団体の登録に行って来ました☆彡

東京時代からボランティアは色々行なっていたのですが、団体として登録に行くのは初めてで、ドキドキでした。

ですが、担当の職員の方の暖かいアドバイスのおかげで、書類を提出することが出来ました。

1週間から10日ほどで、市民団体登録手続きが終了するようです。
(無事通ったあかつきには、本サイトでご紹介致します)

益々の活躍に、ご期待ください!

 

追記
無事登録されました〜!

【イベント報告】教育キラクガタリ@サッポロ

以前もお知らせしましたように、本日「教育キラクガタリ@サッポロ」、無事開催いたしました!

今日のテーマは、

小学校で新たな教科を作るなら何を作る?

でした!

これをネタに、いろんな話が議論に出ました。

個人同士のコラボレーションの大事さ、
社会経験や体験を教育に盛り込む大切さ、
障害者雇用のあり方 などなど、
単なる「学校教育」を超えて、
幅広いディスカッションの場にもなりました。

参加して下さった方からも「楽しかったです、勉強になりました」などのありがたいコメント頂戴しました。

参加する人数は多くはなかったものの、
深く語り合える機会となりました。

お越しくださった皆さん、本当にありがとうございます!

第2回も行う予定ですので、お楽しみに!