内田樹『狼少年のパラドクス』抜粋

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人間は(少なくとも主観的には)利益のないことはしない。これがすべての社会問題を考えるときの前提である。(18頁)

古来、胆力のある人間は、危機に臨んだとき、まず「ふだん通りのこと」ができるかどうかを自己点検した。(中略)状況がじたばたしてきたときに、「ふだん通りのこと」をするためには、状況と一緒にじたばたするよりもはるかに多くの配慮と節度と感受性が必要だからである。人間は、そのような能力を点検し、磨き上げるために「危機的な状況」をむしろ積極的に「利用」してきたのである。「きゃー、たいへんよー!」と言ってじたばたしていると人間の能力はどんどん低下する。(84頁)

追記
ひらがなとカタカナ外来語多用が、内田樹の文章の特徴である気がする。

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