「この店、わかっている!」と言われたい!〜ストーリーとメッセージ〜

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Martという雑誌を知っていますか?

「もっと生活遊んじゃおう!」をテーマに
発行されている雑誌です。

 

 

 

2004年に創刊され、発行部数を伸ばし続け、広告収入も順調。業界では独り勝ちと言われる雑誌である。
「Mart」が近年注目されているのは、ヒット商品をいくつも生み出してきたからだ。(小阪裕司『「心の時代」にモノを売る方法』119)

 

「食べるラー油(食べラー)」も、「Mart」発のブームだそう。
なるほど、なるほど。

 

この雑誌の愛読者を「Mart族」と言うそうです。

この「Mart族」のメンバーには、あるキーワードがあります。

 

「Mart族」と呼ばれる「Mart」の読者の方々は、会話のなかで「わかってる」という言葉を頻繁に使うそうだ。読者コミュニティのメンバーとお茶会などを開くと、奥さん同士で「あのさ、あの店」「そうそう、あの店ね」と盛り上がり、次いで「あの店はわかってりよね」「あのブランド、ちょっとわかってないでしょう?」という言葉が出てくる。(小阪裕司『「心の時代」にモノを売る方法』119-120)

 

「わかってる」ってなんでしょう?

 

お気に入りのカフェやお店は内装からレイアウト、
インテリア、もちろん商品に至るまで
「自分たちの気分をわかってくれていると感じ」(同 120)られるように作られています。

 

「この店、わかってるじゃない」
「あの人は、わかる人だ」

 

そういうお店にリピーターは集まるのです。

 

現代の消費者は飢えている。
そして「わかってる」と感じる相手を切望しているのである。(小阪裕司『「心の時代」にモノを売る方法』121)

 

その理由は「それだけ「わかってる」と思える相手が少ないから」(同 121)。



 

これ、私も教員の経験のなかで学んだことです。

 

生徒から人気が集まるのは「わかってくれる先生」です。

 

 

「あいつ、うざいけどウチラのこと、わかってくれるよね」
「先生だけだよ、わかってくれるの」

 

生徒たち、とくにヤンチャ系の生徒たちがこういうセリフを言うのを数限りなく聞きました。

 

私の前務めていた学校には、
一定数「前の高校が合わなくて(あるいは辞めてしまって)転校してきた」生徒がいました。

 

それだけ「わかってくれる」相手、「わかってくれる」学校を求めている証拠でもあります。

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「わかる」こと、「わかってるね」と思ってもらえること。

 

ビジネスにかぎらず、
人間関係でもそうです。

 

ただ、問題になるのは、
お客自身(あるいは生徒自身)が
「どういう状態であれば、【わかってる!】と感じるか、知っていない」という点です。

 

・・・ややこしい言い方になりました。

 

 

 

言い方を変えましょう。

 

よく言われる例を出します。

 

iPodを例に出します。

 

もうiPodブームは過ぎ去ってしまいましたが、
「何千曲も聴ける音楽再生機」の衝撃は大きなものでした。

しかし、iPodが出来る前に、
「自分の持ってるCDすべても持ち運べたら良いのに」と考える人は(ほぼ)いなかったはず。

 

iPodができて初めて、
「そうそう、こういう音楽プレーヤーを待ってんだ!」
「こういう使い方をしたかった!」という
人たちが現れたのです。
「iPodを欲しい!」という、需要が創発されたのです。

 

iPodによって、はじめて「持っているCD全部の曲を持ち歩く」というライフスタイルが作られました。

 

そうなってはじめて、

「iPodを作ったアップルは、やっぱり【わかっている】」
「スティーブ・ジョブズ、【わかってる】じゃない」

・・・なんていう人たちが現れたのです。

 

お客さんはカンタンに
「このお店、わかってるね〜」といいます。
そうするため重要なこと。
それは、お店自身が「どういうストーリーをお客に提供するか」「どんなメッセージを伝えるか」明確にすることです。

 

さっきからちょくちょく引用していた本が
小阪裕司『「心の時代」にモノを売る方法』です。

 

 

「モノ」が売れない現代。
本書では、新たなマーケティング手法を提唱します。

 

それが「ワクワク系マーケティング」。

 

「モノ」をただ売ることだけを考えていても、「モノ」は売れません。

 

「モノ」を手に入れることによる「ワクワク」感や
お店自体の「ワクワク」感によって、
お客は動くということを提案しています。

 

この「ワクワク」の土台には、嬉しい」という思いがあるそうです。

 

買いたいものに出合ったことによるワクワク感。親切にしてもらって「ああ、よかった、大切にされている」と感じること。「いい雰囲気の店だなあ」という気分の良さ。そういったものすべてが「嬉しい」に含まれる。
そうしたあらゆるものが「嬉しい」を生む。
であるならば、この「嬉しい」をたくさん作ることが、これからのビジネスの目的になるのではないだろうか。(124)

 

 

ここで、最初に書いた「わかってる」という感じを思い出してください。

 

「わかってる」がキーワードになるのは、
純粋に「わかってくれている」と嬉しいと感じるから。

 

目指すべきは、「嬉しい」という感情をお客に提供することだったのです!

 

「嬉しい」を感じる時「心の豊かさと毎日の精神的充足感」(124)が得られます。

ビジネスは、「便利さ」をもたらす挑戦から、「嬉しい」を生み出す冒険になったのである。(124)

 

この「嬉しい!」という感覚。

 

あらゆるビジネスに当てはまります。

 

普通のお店はもちろん、
塾・学校もあてはまります。

 

小阪さんの本書『「心の時代」にモノを売る方法』には
ある新聞販売店が取り上げられます。

 

この新聞販売店、ひと味違います。

 

新聞を提供するという行為を
「リゾートホテルのルームサービスのような、優雅な朝」(180)を提供する行為に読み替えました。

 

以前、このブログで書いた「定義すること」に近い話です。

 

自分たちの仕事は「〜〜だ」という定義を、
新たにし直すということです。

 

「リゾートホテルのルームサービスのような、優雅な朝」に必要な物は、何か?

 

それを「焼き立てパンの配達」と考えました。

 

単にパンの配達をするのなら、
ただの「宅配パン屋」です。
「リゾートホテル」なのだから、
パンを届けるのに高級感のある箱を用意したり、
パンをビニールではなくしゃれた紙につつむようにしたり、
メッセージを明確に伝える工夫をしました。

 

ある意味、効率を度外視しています。

でも、その結果、新聞が売れない時代にも関わらず、
この新聞販売店のお客さんが増えているのだそうです。

 

きっと、この販売店から毎朝
新聞とパンを受け取るお客さんは

「この販売店、わかってる!」

そう感じているはずです。

 

 

「モノ」が売れない時代だからこそ、
お客の「嬉しい!」を提供できる
「メッセージ」なり「ストーリー」なりを考えていく。

とっても大事なことですね。

 

 

 

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