田中ちひろ, 2013, 『悩みの9割を消す技術』ダイヤモンド社。

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悩むことの多い人生。

悩む人がたくさんいる分、「悩み事相談」「悩みを乗り越える」本はたくさんある。

結構、その手の本を読んできた私であるが、あまりグッと来る本に出会ったことは少ない。
大体は「悩みがあるのは自然なこと」「悩みを成長に向けよう」という精神論ばかり。
それでも役だったのはフランスの哲学者・アランの『幸福論』。
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アランは〈いますぐ、ここで、「幸せになる」という決意をしなさい〉という。
「幸せになろう」と思わないと、幸せになれない。
悩みも、悩んで役立たない悩みなら悩むな、という発想を提唱する。
不幸になるのは間違った考え方だ、ということ。
ならば不幸につながる悩みは悩まないほうがいい。
アランは悩みに向かう姿勢としてすごく役立った。
しかし。
何をもって「間違った考え方」というかは、アランは言っていない。
悩みの乗り越え方の根本的な方法を、アランは教えてくれないのだ。
本書『悩みの9割を消す技術』は、アランに欠ける部分を埋めてくれる良書。
「悩みの9割」は人間関係から生じている。
人間関係はコミュニケーション不全から生じる。
だから、コミュニケーションについて学べば「悩みの9割」は「消える」のだ。
 
13ページの「人間の脳の「5つの思考レベル」」の表には、本書のエッセンスがすべて詰まっている。
写真
基本的に、人間の悩みや苦悩は、相手の発言の「取り違い」から生じている。
 
例えば、テストの点数の悪かった子どもに、
君はこんな問題も出来ないのか」という言い方をしたとする(私はいいません、念のため)。
親や教員としては、ただ「このテストの、この簡単な問題をミスしているのだから、もっと基本を勉強しなさい」という意図で言っている。
13ページの表で言う「行動」のレベルの話である。
相手が単に問題を解けていないという「行動」に即して話している。




しかし。
子どもはそうは思わない。
自分の「アイデンティティ(個性)」が否定された、と感じてしまう。
つまり、自分の全存在が否定された、と感じてしまうのだ
 
親や教員は決して全存在を否定しようとしていないにもかかわらず、である。
特に「日本語は、文法的に「相手自身のこと」を指示してしまう傾向がある」(50)からこそ、このズレは頻繁に起こる。
他者から見えるのは、この表の「環境」のレベルと「行動」のレベルの2つだけ。
基本的に相手からなにか言われる時は、「環境」と「行動」についてしか言われない。

「やる気があるのか!」という言葉は、本当にやる気という思いがないからいう言葉ではない。

ダラダラしている「行動」や、ゴミが周囲に散らかっているという「環境」についてを見て行っているだけである。
だって、「やる気」という心の動きは目には見えないのだから。
 
「やる気があるのか!」と言われた時の正しい対処は、
「やる気あるよ!」という言い返しでもなく、
「ああ、怒られた・・・」というアイデンティティ(個性)の落ち込みでもなく、
「自分のどの行動や、自分の周りのどの環境が〈やる気があるのか!〉といわれる原因になったか、考えよう。わからないなら質問しよう」という気づきをすることである。
 
このように、他者からの批判・注意・指摘はすべて自分のアイデンティティ(個性)のことを言っているのでも、
価値観について言っているのでも、技術やノウハウについて言っているのでも、無い。




このことに気づいてから、急に生きるのが楽になった気がする。
それくらいこの本はすごく役に立つ。
人によっては辞表を撤回したり、自死を思いとどまったりするほどの効果を持つ。
あ、そうか。あの発言は別にオレの人間性を否定していたんじゃないんだ!
この気付きは、実は本当に役立つものだった。
追記
しかし、私はこの本よりも、同タイトルのDVDの方が役立った。
TSUTAYAだと100円もしないで借りれるが、本当にグッと来た。
動画の中で筆者に語ってもらうほうが、感動もひとしおとなった。
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