【数学コラム】途中式を省略しないということ

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 今年、ある高校で数学の授業を担当しております。回答を見ていると、途中式を書かないで計算している人を多く見ます(途中式とは計算をおこなう際に書く式のことです)。

 例えば2(4x+1)-5(2x-5)を考えてみましょう。そのまま答えを出そうとすると、すごく難しいです。マイナス・プラスの符号を間違えやすいためです。

そのため、一度「=8x+2-10x+25」と書いてから計算すると、スムーズに-2x+27という正解を求めることができます。有名な数学者・科学者のなかにも、わかりきった計算にさえも途中式をすべて書いていく人が多くおります。

これって、数学に限らないことだと思います。

なにか問題に出会った際、途中式を書かないで正解を出すって、すごく難しいことです。どこから手をつけていいかわからない上に、計算上のミスもたくさん起きてしまいます。

ですが、途中式を書くと自分が今やっていることが何か、よくわかります。何を自分がやるべきか、どこまで自分は理解しているか、はっきりと見えるようになります。

「数学なんて、なんの役にも立たないよ」ということを考えている人もいらっしゃるかもしれません。確かに、数学それ自体としては「計算能力」くらいしか役には立ちません。ですが「人生における問題をいかに解くか」を考える際、数学の考え方は役に立つと(少なくとも)私は考えております。

例えば就職試験を受ける際がそうです。就職するのは、はっきりいって楽ではありません。その現実を見た時、途中式を省略していると「ああ、無理だ」と思ってしまいます。ですが途中式を省略せず、少しずつ問題を解こうと紙に書いていくと、あんがい問題を解くヒントが得られるものです。就職という問題を解くために、まずは会社訪問に行くという途中式が必要なこともあります。面接の練習をするという途中式も必要になります。

何か問題を解いていく際、「自分には一体どんな力が必要なのか」、考える習慣を持ちたいですね。それが「途中式を省略しない」ということにつながります。

追記

余談ですが、人間は頭よりも手のほうが発達している生物でもあります。アイデアが出ない時、人生の壁にぶつかった時、手元にノートを用意してみて下さい。自分の思っていること・自分の悩み・自分の困っていることをすべて書いていきます。そうやっている中で、「あ、これってああすれば問題が解決するじゃん」と気づいてしまうことがあります。

悩みの途中の過程を省略せず紙に書いていく。まさに「途中式を省略しない」ということです。

ぜひやってみてくださいね!

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