ゴフマン冷却作用論文(1952)についてのメモ

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 ゴフマンの自己論は自己がバラバラである状態を統合させるのを要求するのが文化や社会システム的(社会規範など)にあるということを指摘していると考えられる。本稿ではカモの分裂した自己を統一させる働きが冷却作用の一種として表れている。
冷却作用とは一面ではバラバラな自己に一貫させた他者への自己(面目face)を与える手助けをするものである。本論文はゴフマンの最初期にあたるものであるが、後のゴフマン思想の萌芽を読み取ることができる。例として、selfとmindの違いを説明した個所をあげられる。これらの個所では自己の統一性を手に入れるためにある人物(エゴ)が行う他者への印象操作である。
あるいは他者の印象を一貫させるという意味で『行為と演技』や『出会い』・『儀礼としての相互行為』につながる発想である。特に『行為と演技』において展開されたドラマツルギー理論では表局域と裏局域とが区別されており、必ずしも自己イメージが統一していなくてもいいが他者についての一貫性をもった自己を示す必要が示されていた。自己を呈示する動きについての指摘と、どういった人物かわからないからこその他者の示す属性・演技により呈示された他者像を統一性・一貫性を持ったものであると認識(あるいは想像)することが示されている。
 本論文はカモ自身が統一性を持つために冷却されることを望むと書いてある点で、「呈示」にとどまらないゴフマンの理論を見ることができる。主体自身も統一性を入手することを望んでいる可能性は、このあとのゴフマン理論に見られることが少なくなっているように思われる。(藤本)

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